東京の下町。小説家になることを夢見て35年も小説を描き続ける「重さん」こと新橋重十郎は、見果てぬ夢を追い続けるうちにいつしかホームレスになっていた。全身癌だらけで余命いくばくもない彼の夢を叶えてやりたいホームレス仲間や風俗店の従業員の元に舞い込んできた出版の話に一同歓喜するが、その話は実は詐欺だったとわかる。重さんに気づかれる事なく彼の小説を出版するにはどうしたらいいのか、仲間たちが奔走する。その中には、重さんが30年前に行き別れた彼女にそっくりな幸恵もいた。仲間が稼いだ金で重さんの小説はようやく自費出版に漕ぎつけ、祝いの相談をしていたところに別れた彼女の実家から一通の手紙が届いた。30年前の別れの真相を知った重さんと仲間たちは慟哭する。しかし重さんの小説出版で一丸となったエネルギーは、関わった仲間たち活力を与え、新たな生活に向けてチャレンジする者も出て来るのだった。