「農業の救世主」と呼ばれ、1935年から30年に渡りソヴィエト連邦の科学界に君臨した生物学者トロフィム・ルイセンコ。彼が唱えた「ルイセンコ学説」によるソヴィエト連邦科学界の混乱、および、それに反旗を翻した「300人の手紙」をモチーフにしたフィクション。
エフィム・ルカショフは遺伝子の存在を完全に否定し、非科学的な農法により食糧の増産が可能であると「ルカショフ学説」を唱え、遺伝子学界や生物学界を牛耳っていた。彼は時の為政者スターリン、フルシチョフの寵愛を受けており、他の学者たちは粛清を恐れ、誰も反抗できなかった。
時を同じくして、ソヴィエト連邦の数学界における権威アドリアン・リヴァノフは、娘であるキーラの希望により、自宅で生物学の勉強会を開くことになる。そこで生物学者ミハイル・タラノヴァから、ソ連生物学の発展の立ち遅れを知らされたアドリアンは、仲間を集め、「ルカショフ学説」、および、ルカショフ自身の不正な活動を告発しようとするが…。