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劇団名 ブルドッキングヘッドロック
公演時期 2015/07/29
地域 関東
キャスト
永井幸子/相楽樹/葛堂里奈/鳴海由莉/二見香帆/西山宏幸/篠原トオル/寺井義貴/猪爪尚紀/津留崎夏子/深澤千有紀/岡山誠/山口かほり/藤原よしこ/はしいくみ/浦嶋建太/山岸門人(劇団鹿殺し)/嶋村太一(親族代表)/岡田あがさ
スタッフ
作・演出:喜安浩平
音楽:西山宏幸/映像:猪爪尚紀/舞台美術:長田佳代子/照明:斎藤真一郎(A.P.S)/音響:水越佳一(モックサウンド)/舞台監督:田中翼・倉科史典/演出助手:陶山浩乃/音響操作:照山未奈子/衣裳協力:小原敏博/映像協力:篠原トオル・神林祐介/宣伝美術・宣伝写真・スチール:高倉大輔(casane)/宣伝ヘアメイク:山口梓/宣伝イラスト:永井幸子/WEB:寺井義貴/票券:鈴木ちなを/制作協力:リトル・ジャイアンツ/制作:足立悠子/サポート:小笠原健吉/協力:ダックスープ・KNOCKS,INC.・太田プロダクション・イマジネイション・株式会社CLEO・株式会社エコーズ・イトーカンパニー・マッシュ・株式会社アプル・ナイロン100℃・親族代表・劇団鹿殺し・capital inc.・株式会社キーストーンズ/企画・製作:ブルドッキングヘッドロック
あらすじ
1995年、二十歳の私は広島にいて、大学生だった。ある冬の朝、美術専攻だった私がアトリエに着くと、数名のゼミ生がその日起きた震災の話をしていた。私は揺れにも気づかず、彼らに教えられるまでそのことを知らずにいた。春には偶然テレビをつけた日があった。見慣れぬ東京の街。地下鉄の地上出入り口脇に人だかりができていて、救急車が何台も停まっていた。レポーターの言葉に追いつけず、カメラの向こうのそれを、地続きの場所の出来事とはどうにも思えなかった。
あの頃、有線から流れる流行りの甲高い歌声にまったく興味はなかったが、誰かは必ず口ずさんでいたので、自然と覚えた気になっていた。教育実習に行けば、私の高校時代には見かけなかった弛んだ靴下の女生徒が、こちらを試すように小さなポケベルのメモを渡してきた。なぜか周囲に古着を着る雰囲気があり、恐る恐る店に行けば、誰かの着古しに驚く額の値札がつけられていて、何も買わずに逃げて帰った。初めてパソコンに触れ、どうにか卑猥な画像が見られないかと画策したが、爆弾マークに脅され逃げて帰った。後に語り継がれるTVアニメのことは、秋も冬も過ぎて次の年、ようやく誰かの噂で聞きかじった。
いったい何が起きていたのだろう。なにも知らぬまま、山奥のキャンパスで私は、絵を描き演劇をしていた。浮かれた男女がわずかばかりの飲み屋街に繰り出し、享楽の声を上げていた。私もまた懸命に声を張り上げていた。よく周りに怪訝な顔をされていたのは、それが怒声に近かったからかもしれない。どれもが、おまえは関係ないとばかりに近くを、或いは遠くを通り過ぎて行った。
などとつらつら書いているが特に回想録にはならない。たいそう奇妙な会話劇になるだろう。1995年頃はアイドル氷河期であったとも言う。私の知らないところで。この度はそこに目を凝らし、潜り込む。
少女とは呼べず、女にはまだ遠い。彼女たちはそこにいた。私とは繋がるはずのないところに生きていた。あの頃、彼女たちはどうしていたのだろう。乗るはずだった地下鉄が動かず、途方に暮れていたかもしれない。PHSを握りしめ、最初にかけてくる相手を待ちわびていたかもしれない。弛んだ靴下が金になることを覚えたのかもしれない。では今は。この先は。
気づけば、朝も昼も夜も彼女たちのことを考えている。彼女たちが笑えば僕も笑う。懸命な様子に訳もなく涙が溢れる。100年先でも愛してる。嘘じゃないさ、大好きさ。誰が一番?そんなんじゃないさ。踏んづけられても構わない、遮二無二頑張る君らが希望、かぼちゃの馬車はきっと来る、さ。 拝啓、最近白髪が増えました。お元気ですか。娘が嫌な目でこちらを見ています。どういうことでしょう。ああ!氷河期に取り残された僕らの君らよ!君らに会いたい!会ってほんのりはにかみたい! 君らよ、君らはほんとにいたのかな?
さあ、時空を超えて紡がれる、壮大で矮小な偏愛の物語。声援も怒声になっちゃう僕らの、いつか女神に出会うまで。
喜安浩平
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