第9回(2002年)大賞:サカイヒロト
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作品解説
無差別テロ集団が横行する世界。病院爆破事件でただ一人生き残った妊婦の鈴音は、人口増加推進計画「サバイバーキャンペーン」のイメージキャラクターに祭り上げられる。一方、心を持たない「ブリキ」と呼ばれる少年・エガオは、彼らに感情を教える施設の教官から指名され、自分が自分を殺しにくる妄想にとらわれた鈴音を自傷行為から守るボディガードとなる。キャンペーンの推進派、過激派環境保護団体を追う官憲、病院の療法士ら怪しい人物が入り乱れる中、鈴音は病院から失踪する。さまよう鈴音の周囲で、際限なく繰り返される殺戮。そしてまた生き残った鈴音は、生まれてくる子供を体内に感じながら、劇場の外へとどこまでも歩いてゆく。(村上知彦)