第15回(2008年)大賞:サリngROCK
サブウェイ
作品解説
塔子は、仕事にも、職場での人間関係にも関心がないOL。物があふれる乱雑な部屋に住む。ある時、窓の下を通りかかる「かわいい」男子大学生・由利を軟禁して、ウキウキと暮らし始める。一方の由利も逃げようとはせず、ロープにつながれたまま、紙飛行機を折って、飛行機内で起こる物語を夢想している。この奇妙な共同生活の場に、塔子の奔放な母親や、職場の同僚、管理人、由利の同級生らが出入りする。最後には逃げ出すかに見えた由利。だが再び戻ってきて、「よし、じゃあ行くで」と、塔子の手をとって青空の下に飛び出していく。まるでスカイダイビングのように。現代のシングル女性の孤独と欲望、愛情の形を、新鮮な文体で描き出した。(畑律江)