第20回(2013年)佳作:肥田知浩
はだしのこどもはにわとりだ
作品解説
「この瞬間だぜ」と今を求め、それを記憶する為、鮭やうどん、ラジオを楽器として演奏しロックイベントへの出場を目指すバンド「ジョーブ博士と下部構造」。子供の頃、自分はくの一になるのだという友人を持ち、バンドのドキュメンタリー映画に出演する事になった女、そして自分は魔女になるのだという空想とくの一の友人を持つイベント実行委員の女。そんなロックイベントに関わる人々を現代の時間軸に、祖父が見た満州の記憶という歴史的時間軸が入り込み、それぞれの記憶や空想がその上に重なり合い、全てがループしながら物語は展開していく。記憶を留める為、その記憶を過去と未来に繋げる為、登場人物達は”今“を生き続けていく。 (安藤善隆)