第17回(2010年)佳作:山崎彬
嘘ツキ、号泣
作品解説
無差別通り魔殺人の犯行予告をネットで知った主人公の少女が、その予告現場に自分を裏切った親友を誘い出し、親友が殺される場面で幕を開ける。その後、主人公は親友の死を乗り越えようとする悲劇のヒロインに成り切り、「罪の意識を持った」と自らに嘘をつきながら生きて行こうと決心する。そして時は経ち6年後。そこは同じ通り魔に身内を殺された人々が集う喫茶店。彼らはある教団に所属しているが、その教団は通り魔の親が入信している教団で主人公は通り魔犯への復讐劇に誘われる。そこで嘘と罪を重ねた彼女が証明しようとしたものとは…。独自の言語感覚と疾走感で描かれる山崎作品のフィクションのパワーに圧倒される。(安藤善隆)