カゴの中

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商品コード: 23091601
ままごと「わが星」台本
販売価格(税込): 2,000
※メール便対象外商品です。
2009年10月作品 ※この商品はメール便対象外商品です
■商品説明

作・演出 柴幸男

■ストーリー
ここはコスモスっていう団地で、あたし達は今日ここに引っ越してきた。
上から3番目の、左から9番目の、下から7番目。137あるうちのここがあたしの家。
お父さんと引っ越し屋さんがタンスを運んでる。
テレビ、洗濯機、冷蔵庫、机、ちゃぶ台、二段ベッド、食器棚、本棚、ミシン。
あたしは地球で、みんなからちーちゃんって呼ばれてる。
生まれてから6億年間ひとりぼっちで、その後はいろんな人達がぎょーさんいてけっこうにぎやか。
今まで色んな生き物が生まれては絶滅した。絶滅はやっぱりかなしー。

お母さんと隣の家にあいさつに行く。ピンポーン。
そしたら、あたしよりちょっとちっちゃい女の子が出てきた。これが月ちゃん。
二人はめっちゃ仲良しになる。むかつくときもあるけど毎日いっしょになる。
月ちゃんちにはいつも誰もいない。あたしはそれをかわいそうって思ってるけど月ちゃんには言わない。
でも実は二人はちょっとずつ離れていってる。誰も気がつかないぐらいちょっとずつ。いつか別れるんかな。

月ちゃんと遊んでたら、お姉ちゃんに呼ばれる。晩ご飯やって。そしたら家まっくら。
天井につける電気をお父さんが持ってきて、お母さんがヒモを引っ張った。
電気が遅れてて、8分してから、やっと家が明るくなった。
みんなでおそばを食べる。お母さんがゆでてくれたやつ。
電話もつながるようになったとちがうっておばあちゃんが言う。
お父さんがあたしにどこかかけてみろって言う。
どこかってどこー?って聞いたら、1、1、7って言うから押したらかかった。
それは時報で、女の人の時間を刻む声が、わが家に響く。
お父さんはそれを聞きながら、家の時計を合わせる。
あたしは60カ国語のハローで受話器の向こう側に話しかけるけど返事はない。

二段ベッドの下があたしの寝床。お腹がむずむずして寝返りをうつ。
人間は今日もケンカしてるみたい。もう夜だから静かにしときー。
眠れないあたしは窓の向こうを見る。
向こう側にも団地が並んでて、たくさんの窓が点々と光ってる。
どこかの明かりの男の子が望遠鏡で、あたしのことを見て好きになったらしいけど、それ100年前のあたしだよ。

いつのまにか眠ってしまったあたしは夢を見る。夢の中であたしは時間を超える。
時間は相対的だから、誰かが光速で動くと、あたしは何百倍もはやく年をとるって先生が言ってた。
おばあちゃんが消滅して、おかあさんがおばあちゃんになって、あたしはおかあさんになる。
おかあさんから新しいちーちゃんが生まれる。
あんなにぎょーさんいた人達はやっぱり絶滅していなくなって、今はイカがたくさんいる。

どんどん時間は過ぎていく。畳は色あせて、キレイだった床にはホコリが見えるようになる。
タンスに貼ったシールは黄色くなった。破れたふすまはおばあちゃんが直してくれた。
蛍光灯は切れて、冷蔵庫はうるさくなって、テレビはうつらなくなった。
それで50億年して、この団地は大きな火事になって、あたしもお姉ちゃんも月ちゃんもみんな燃えてなくなる。
あたしはそれを知っていて、そうなることはもうどうしようもなくて。
でもあたし達はどこにも引っ越さない。あたし達の家はここでしかないから。
それもまだ50億年も先のこと。100億光年向こうの人から見たらあたしまだ生まれてないし。
そんな夢を見ながらあたしは眠る。明日も月ちゃんと一緒に遊ぶ。楽しみだー。

あたしここに生まれてよかった。
水星はデコボコ過ぎて寝られへんし、金星は暑すぎる。
木星と土星はガスやし、天王星と海王星は氷だからしもやけになっちゃう。
でも、一番おっきいのは、あたしにはみんながいるってこと。
もしよそに生まれてたら、何十億年もひとりぼっち。そんなんさびしいよ。
だからほんと、

あー、地球に生まれてよかった。
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