手のひらだけで楽しめる 高校演劇祭!

小劇場を中心に演劇に特化したオンライン映像配信サービス「観劇三昧」を提供している株式会社ネクステージと、開講20年以来、全国で10,000人を超える卒業生を輩出しているヒューマンアカデミー・パフォーミングアーツカレッジによる、未来の表現者である高校演劇部の方々を対象とした、演劇映像の閲覧や講評がもらえる「高校演劇祭」です。

劇評家のプロフィール

黒澤 世莉

総合学園ヒューマン
アカデミー顧問

田代 利之

日本大学芸術学部演劇学科卒業後、東京俳優生活協同組合に所属。
俳協俳優養成所(現演劇研究所)教務担当として俳優・声優・タレントの養成に関わる。
俳協ボイスアクターズスタジオを開所させると同時に演劇の現場で演劇企画・制作、舞台美術、舞台監督として中小劇場を中心に活動している。
俳優、声優、ナレーター、DJらが多数所属する東京俳優生活協同組合前理事長、一般社団法人日本声優事業社協議会前理事長。

黒澤 世莉

演出家

黒澤 世莉

2016年までの時間堂の劇団活動を通じ、TGR札幌劇場祭作品賞、佐藤佐吉賞優秀作品賞、演出賞を受賞。
スタニスラフスキーとサンフォードマイズナーを学び、演出家、脚本家、ファシリテーターとして活動。公共劇場や国際プロジェクトとの共同制作など外部演出・台本提供も多数あり。「俳優の魅力を活かすシンプルかつ奥深い演劇」を標榜し、俳優と観客の間に生まれ、瞬間瞬間移ろうものを濃密に描き出す。
俳優指導者としても新国立劇場演劇研修所、円演劇研究所、ENBUゼミ、芸能事務所などで、指導を歴任。高校演劇講評などアウトリーチ活動も積極的に行う。

エントリー作品

山形県立山形東高等学校

まちかどの巣窟

あらすじ
ある街の銀行に銀行強盗がやってくる。銀行員、覆面警官、探偵、窃盗犯、殺し屋にボクサー、お嬢様etc…その場に居合わせたそれぞれが、強盗犯の意図と反して、各々動き出します。はてさて、終末は見えるのか…?

脚本:
村上 亮羽(生徒創作)
演出:
村上 亮羽、その他
キャスト:
探偵 金田:山口 みちる/銀行強盗 田中:田代 優都/殺し屋 鬼塚:青山 登和/銀行員A 大西:村上 亮羽/銀行員B 荒垣:栗原 瑞季/スリ師 津上:小山 伶音/警官 橋本:樋口 芳英/暴力団の娘 夏目:縄 夏乃/偽警官 柏屋:菅原 彩乃/ボクサー 正岡:髙橋 志龍/死体:山田 航大
スタッフ:
舞台監督:縄 夏乃/照明:山科 仁実・古瀬 一帆・山口 みちる・田代 優都/音響:大﨑 萌々香・小山 怜音・栗原 瑞季/衣装:縄 夏乃・村上 亮羽・大﨑 萌々香・沼澤 楓/装置:青山 登和・菅原 彩乃・樋口 芳英・村山 智美・奥山 諒太郎・髙橋 志龍/広報:菅原 彩乃・樋口 芳英・大﨑 萌々香・奥山 諒太郎
山形県立山形東高等学校

山形県立山形東高等学校プロフィール

山形東高校演劇部は、前顧問の土田真一先生以来の伝統を引き継ぎ、毎年県大会出場・上位入賞や、東北大会出場を果たしている部です。近年は生徒脚本に力を入れており、バラエティーに富んだ作品を制作し、東北大会でも創作脚本賞を受賞しています。一昨年度は話題の安孫子陶/作「隧道」で春フェス出場しましたが、今年度は奥山諒太郎+山形東高校演劇部/作「ガブリエラ黙示録」で初の東北大会最優秀賞し、初めて全国大会に出場を決めることができました。皆、個性豊かで、演劇大好きなメンバーが集まっている部です。毎日毎日、発声や演技練習のみならず、全員で装置や衣装づくり、照明プランや音響編集、広報活動etc…それぞれたくさんの方々に教わりながら、自分たちで力を合わせて演劇作りをしています。生徒主体の部活動なので、未熟な面も多々あることとおもいますが、何卒温かいご指導を賜りますよう、よろしくお願いします。

田代 利之

生徒のオリジナル作品であること、そして生徒演出である点は評価し応援したいところである。
それを踏まえた上で今後の課題としてのいくつかの点をここに記しておきたいと思う。
まず観終わっての感想だが、暗転が多く転換時間も長いという点である。
銀行のカウンターをメインとして進められるストーリーと、別の場所で行われる事柄を暗転とシーン変更で表現されているがこれを暗転を使わずにライトチェンジで表現することでスピーディーに展開することができるであろう。
そうすることで、作品に良い意味での緊張感を与え観客を引きつけることができるのではないだろうか。
その場合、照明変化とSEやMEの選択が非常に重要である。
そしてもう一つ冒頭シーンだが、観客を一気に作品の世界に引き込む要素として、銀行強盗が入ってきたという衝撃と緊張感をもっとリアルに演じた方が効果的であったのではないだろうか。
衝撃と恐怖をリアルに表現し、観客をその世界に引き込んだ上で、コミカルに裏切ったり、シュールな世界に移行させた方がより面白みが増したであろう。その点少し単調に進んでしまったことが残念であった。
このような点を今後の課題と捉え、より一層良い作品作りをしていくことに期待したい。

黒澤 世莉

強盗が入った銀行は悪の巣窟でした、というドタバタコメディ。楽しく拝見しました。 村上亮羽さんの生徒創作ということで、意欲のある台本だと感じています。舞台美術の金庫のアイディアも素敵でした。
では、ドタバタコメディを創作する際、工夫したら良くなる点を具体的にお伝えしたいと思います。

1:演技
演技には大きくふたつの方向性があります。おおざっぱに言うと「自然に見える演技」か「誇張した演技」かです。
今回のように荒唐無稽なアイディアを演劇にする場合は、「誇張した演技」を練習するといいかなと思います。たとえば、銀行員の喋り方や身体の使い方、話す内容を調べたり、銃の持ち方、扱い方を映画などをたくさん参考にすると、もっと良くなると思います。

2:転換の演出
テンポ早く進めていてそれが良いところだと思いますが、もっとこだわれます。
舞台転換の品質を上げるだけで、作品がぐっと締まり、リズムが出ます。人が死ぬ場面を暗転で処理していますが、もうひと工夫別の見せ方ができると良いですね。またブルー転換も、動きやスピードを工夫することでもっと格好良く出来るし、それが作品の疾走感に繋がるかと思います。

3:演技の演出
舞台上の人物が、聞こえている場合と聞こえていないない場合の演じ分けをハッキリできると見やすくなります。たとえばセリフが聞こえていない俳優は完全にストップモーションにしてポーズを変えるなどです。照明のちからを借りるのもいいかもしれません。

大阪府立狭山高等学校

ヒカリ

ヒカリ

あらすじ
親からの虐待の日々。こんな日々が続くなら...自殺を決意した智也の前に現れた天邪鬼と名乗る者。彼の不思議な力によって飛ばされた先はなんと江戸時代!そこにはまた色々な事情を持った人達が。何故、智也を江戸時代に送ったのか。真実を知った時、智也の心は変化する。

脚本:
平塚 一輝
演出:
篠田 昌樹
キャスト:
森 幹大/池渕 馨悟/辻田 祥貴/立宅 歩未/山下 翔哉/福田 沙南
スタッフ:
篠田 昌樹/平塚 一輝
※映像については一部の楽曲に関する利用許諾の都合上、該当箇所を無音処理で編集しております。
大阪府立狭山高等学校 演劇部

大阪府立狭山高等学校プロフィール

本校演劇部は創部より37年間のクラブで現在の部員は男6人、女1人のクラブです。「創造」と「想像」をモットーに活動して、今回は和の世界に挑戦してみました。ご覧ください。

田代 利之

教室という限られた空間での表現として、工夫と努力が見られる。
(ただ、外だと思われるシーンをソックスでというのはやはり違和感があるが…)
舞台美術も非常にシンプルでありながら時代の変化をうまく表現している。
また、時空の変化をライトセーバーを使い表現するところなどはユニークな発想である。
その中で一つ物足りなさを感じたのは冒頭のシーンでの演出である。
SEあるいはMEを使い観客を一気に物語に引き込むようにした方が良かったのではないだろうか。
照明と美術で限界がある分、世界観を表現するために音を使うことがかなり重要であろう。
それは、電車のホームでのシーンでも同じことが言える。
暗転時に電車の走り抜ける音を衝撃的に使うことで次のシーンへの期待感が高まる効果がある。
同時に過去(江戸時代)へ行った時の音楽の選択も邦楽を使ったことの意図は理解できるが、もう一捻り欲しいところである。
演技面であるが、小道具の扱いをもう少し丁寧にすべきである。
例えば無対象である飲み物を丁寧に扱うことで、味や温度を観客は想像する。
全体的にはよくまとまっており、面白く拝見した。ベースになるテーマは重いが、最後に希望が見える作品であった。

黒澤 世莉

DVの問題に切り込む意欲は素晴らしいです。ただし、難しい題材なので、扱い方によっては当事者を傷つけてしまう可能性があります。DV問題やジェンダーなどの問題は、取材や調査をしてやりすぎるということはありません。本を読んだり詳しい方に取材したり、してください。想像力を駆使するのはそれからです。

1:ライトセイバーやふすまになる衝立など、見せ方の工夫が楽しかったです。暗転の時間を短く出来るとよいでしょう。

2:衣裳で袴や羽織などの和服を着てみるのはいい挑戦だと思いました。また、おだんごを食べるシーンは美味しそうに動けていましたね。その上で、立ち方や歩き方など、着物での身体の使い方(所作)をもっと練習すると美しくなると思います。

3:演技のメリハリがつくとお客さまから見やすくなります。例えば動き方、殺陣などがんばっていて素敵でした。「動く」「止まる」「早く動く」などはっきりさせると、殺陣や追いかけっこのシーンなど、しまると思います。また台詞も同様です。間を詰める、間を取る、まくし立てる、ゆっくり聞かせるなど、シーンに適したリズムを心がけましょう。例えばお茶が甘いというときは、しっかり味わってからにしましょう。

4:台本の書き方について。台本とは人物の行動が書かれたものです。台詞で説明する量を減らしましょう。お客さまに、行動や対話でおはなしを伝えられると、より面白く観てもらえます。たとえば、秘密を自分から話し出すのではなく、話さなければならない状況になるよう、役柄同士が行動するようにシーンをつくってみるよう工夫してみるといいかと思います。

兵庫県立明石南高等学校

裁判同好会

裁判同好会

あらすじ
公訴事実「被告人、三田晴子、二年一組三十三番は、今月二十日に行われた二学期中間考査、世界史Bにおいて、同じく考査を受けていた雨宿優子、二年二組二番の答案用紙を覗き見て、その内容を己の用紙に書き加えたものである」 果たして三田は見たのか?カンニング行為を裁く校内裁判がたどり着く真実とは。全国の高校演劇界に波紋を呼ぶ(かもしれない)衝撃の問題作。
※上演映像…H29兵庫県大会2017.11.19 at明石西部市民会館

脚本:
光武太郎
演出:
明石南高校演劇部
キャスト:
高木晴加(被告人:三田晴子)/藤原柚果(証 人:雨宿優子)/中島初菜(検察官:鯖井花子)/中井咲楽(弁護人:田守咲子)
スタッフ:
石田美杏(音響)/堀 伊織(照明)
※映像については一部の楽曲に関する利用許諾の都合上、該当箇所を無音処理で編集しております。
兵庫県立明石南高等学校 演劇部

兵庫県立明石南高等学校プロフィール

平成30年2月現在、女子6名で活動しています。男子はなかなか入部してくれません。高校演劇界にビター味のコメディーを提供することを目指し、「白バラ女学院」(27年度)で春季全国大会、「オクラホマで逢いたい」(28年度)で兵庫県大会に進出しました。今回の作品「裁判同好会」は高校演劇で本格的な法廷ものができないか?という問いに答えようとしたもので、29年度の近畿大会に出場しました(上演映像は兵庫県大会のものです)。上演の機会はもうありませんが、これを機に多くの方々に観ていただけると嬉しいです。これからも、お客も役者もスタッフも、みんなが楽しめる演劇を作っていきたいです。

田代 利之

女子4人のみでの会話劇である。
導入は喜劇的な要素が多いコミカルな作品だと思わせ、観客から笑いをとりリラックスさせ終盤にシリアスな内容にいつのまにか引き込んでいく手法は見事である。
ほぼ一時間という上演時間を4人の登場人物の会話のみで進めるという大人顔負けの演技力と体力を有する作品であるにもかかわらず、出演者は非常に高い集中力を持って観客を引っ張っているところが素晴らしい。
あえて言えば、演技面で少し気になったのは感情が高まるにつれてがなりが多くなるところである。
録音状態の悪さもあるのかもしれないが、やはり聞き取りづらくセリフと内容が明確に伝わりづらいことで見る側の集中力が削がれてしまうのがもったいない気がした。
もう少しポイントを絞って使う方が効果的であると思う。
小道具もほぼなく、シンプルな中でピコピコハンマーを印象的に使っているのは面白いが、その使い方に一考を要するのではなかろうか。
裁判官の使う木槌のように使うのは、音も含めてとてもユニークであるがツッコミのために頭を殴るのにも使ったのは、少し違和感を感じた。

黒澤 世莉

講評は「嗜好(テイスト)」と「品質(クオリティ)」を分けて考え、品質についてお伝えした方が良いと考えています。本作は戯曲、演技、演出について、よく練られているし、たくさん稽古をしたことが高い品質につながっています。
演出について、「戯曲読解」「演技演出」「空間構成」という3つの仕事があります。この観点でメッセージをお伝えします。

「戯曲読解」
ありえない設定を、丁寧な人物造形で説得力を持たせた戯曲です。いい意味で素直に読み解いて、見やすく演劇化しています。各人物の目的や動機がしっかり俳優に落とし込まれていると感じました。伏線もしっかり回収できています。強いて提案するならば、読み方に毒を混ぜても面白いかなと思います。

「演技演出」
自然な演技を中心に、時として誇張を入れることでメリハリを効かせ、物語がよく伝わります。たとえば検事や弁護士は地位が高い人物として造形しているなどです。
地域の言葉を使うことで俳優たちの魅力を引き出しています。
台詞のない部分で物語が進む部分が出色の出来です。ハンマーを奪うところや、弁護士が被告の従姉妹を紹介される場面などです。 レベルが高いと感じましたので、小道具の扱いが雑になる部分が気になります。物の扱い方など細部にこだわってほしいです。

「空間構成」
場面転換や音楽の使い方、小道具の用意の仕方、必要最低限で作品に適切と感じます。また、俳優の立ち位置や距離で対立や関係の変化を表現できています。
二幕で一幕の「被告が振り返ってはいけない」というルールがいつのまにか無くなるのはひっかかります。

兵庫県立洲本実業高等学校

ドリームプロジェクト

「ドリームプロジェクト」

あらすじ
高校を卒業した仲良し5人組が、スマホゲームをいろいろな困難を乗り越えながら制作していくというストーリーです。

脚本:
岡千尋(3年)
演出:
岡千尋+演劇部
キャスト:
由佳:寺岡鈴音/真尋:岡千尋/春:奈良海神/和人:木本康生/瀬那:小林真奈/ゲームクリエイター:森下咲樹/ウエイトレス:三浦瑠奈/ナレーション:山中百花
スタッフ:
照明:大上明莉/中来田きらら/音響:沖田翔/高田若菜
※映像については一部の楽曲に関する利用許諾の都合上、該当箇所を無音処理で編集しております。
兵庫県立洲本実業高等学校 演劇部

兵庫県立洲本実業高等学校プロフィール

洲本実業高等学校演劇部は、兵庫県の淡路島にある高校の演劇部です。現在部員は3年生も含めて20人ほどいます。普段は週3で基礎練習やゲーム、即興などの稽古をしていますが、公演が近づくと毎日公演のための練習が続きます。公演は4月に淡路島島内の演劇部が集まって舞台発表をするスプリングステージ、7月に本校単独の自主公演、秋にはコンクールと学校の文化祭で舞台発表をします。また、老人ホームにも公演に行っています。少し前までは部員が少なくて寂しかったのですが、今年度になって1年生がたくさん入部して賑やかになりました。

田代 利之

生徒のオリジナル作品であるということ、そして演出と出演までこなしているという点は大変な苦労があったということが推測される。
等身大の登場人物の日常を描き、ある爽やかさも感じられる。
冒頭のスクリーンを使った演出も観客の期待感を増幅させる良い効果をもたらしている。ただ、登場人物たちの卒業後の生活を無対象行動で表現している次のシーンだが、一つ一つを丁寧に演じさせていることでスピード感に欠け、せっかくの冒頭のシーンでの期待感が薄れてしまった。
例えば同時に舞台上に登場させるなどした方がスムーズに次のシーンに繋がったのではなかろうか。
シーンが変わるごとに時間経過と場所をナレーションとして説明しているが、セリフやSE を使うことで十分説明できると思われる。その辺でもスピード感があった方が良いと思う。
ほとんどのシーンが店内、室内などの限られた空間でテーブルを囲み座った状態での会話であるため変化に乏しくなりがちである。
その辺にひと工夫欲しいところである。
人物一人一人の生活の裏打ちを深め、会話にリアリティーを持たせ緩急をつけることで、よりドラマティックな作品になったであろう。

黒澤 世莉

夢を実現させるための挑戦や、協力して取り組むことの価値、仲間に感謝する大切さ、台本で描こうとしているメッセージはとても美しいなと感じました。
そのメッセージを演劇として立ち上げるため、どんな工夫をしたらいいのか、3点考えてみましょう。

1:台本はドラマ(たまに例外はあります)であり、ドラマは事件(出来事という意味です)の連続で構成されます。本作であれば「ゲームをつくりはじめる」部分からドラマがはじまります。そういう意味で、事件になっていない部分は整理した方が、よりドラマとして面白くなります。たとえば、最初にゲーム作り始める部分をカットするなど。

2:台本は、事件は対立や葛藤を中心に作るといいでしょう。分かりやすく言えば「主人公たちが対面する困難、乗り越えるべき壁」です。たとえば、イラストレーターが手を骨折するなどはそれにあたります。
課題は2点あり、まずシーンに対して事件が少ないので、増やしたほうがいいでしょう。例えばシナリオの展開についてチームの見解が分かれる、成績が下がってチームへの参加を禁止される、など。
もう1点は、事件の解決の仕方に工夫の余地があると思います。人物の変化や成長により、壁を乗り越える、とするといいと思います。

3:台本には具体的な情報があった方が共感しやすいです。具体的には、ゲームのイラストの造形、色彩、大きさ。ゲーム音楽の音源、音色、リズム、曲調。彼らのいまの学校や仕事での具体的なエピソードや、取り巻く人物たちからなんて言われているのか、など。取材と想像力を駆使してください。

最後に空間構成について。
オープニングとエンディングの、シルエットの見せ方、照明のエリアの区切り方なども工夫されており、効果が上がっていると思います。 シーンとして見せている場面はともかく、つなぎの転換の時間が長く、もったいないです。基本的に、転換は少なければ少ないほどよく、短ければ短いほどよいです。もし長く見せる場合は、見せ方を工夫する必要があります。たとえば、見える転換の段取りをダンスにしてみるなど、です。

岡山学芸館高等学校

魚つきの森

魚つきの森

あらすじ
皆さんは、「聞き書き」をご存知でしょうか?話し手の方の生活や考え方、お仕事の話を伺い、歩んでこられた人生が浮かび上がるような文章にまとめていきます。部活動顧問の先生の勧めで「聞き書き」をすることになったはるかは、ある悩みや不安とともに、瀬戸内海に浮かぶ島の漁村に行きました。その村で出会った老人の一生は、戦争や復興期の話から始まるものでした。

脚本:
柳 雅之
演出:
効果音や舞台背景など、可能な限り役者が表現しています。集団演劇としてお客様を惹きつける舞台になるよう、心がけています。
キャスト:
はるか(石原明佳)/タカホ(春名高歩)/チサ(池田果穂)/ヒサエ(久重龍雅)/村長(松下巧)/エリコ(谷平絵梨)/ソウヤ(中島颯哉)/ユウト(太田雄翔)/アキラ(黒瀬彰斗)/メガネ・フウコ(山地楓太)/マイ(武久真依)/ミユ(風早美結)/アキナ(栗正明奈)
スタッフ:
演出(久重龍雅)/演出補佐(山地楓太)/舞台監督(春名高歩)/舞台監督(服部蒔季)/舞台監督補佐(砂崎京子)/音響(妹尾歩美)/照明(土井翠)/記録(山下美紀)/記録(福田楓)
岡山学芸館高等学校 演劇部

岡山学芸館高等学校プロフィール

岡山学芸館高等学校演劇部は役者14名、裏方4名の計18名で活動しています。顧問である柳先生が役者に当て書きした創作台本を主に上演しています。3年連続県大会出場、および入賞していますが、ブロック大会進出まであと一歩です。全国大会出場を目標に、日々楽しく演劇しています!

田代 利之

マスの力を感じる作品である。
主役のはるか以外のメンバーは全編を通して様々な役を演じている。
時には木や波、風の音までも演じる。
そして、そのチェンジも非常にスピーディーでメリハリがあるので観ていてとても楽しめた。
シンプルな小道具と衣装にワンポイント付け加えるだけでそれらを表現している。
もちろん、観客は生徒たちがそうやって演じていることは重々承知していながら想像力をプラスしてそれらにリアリティーをもたせている。
このような「素劇」的な演技は深い洞察力を持って挑まなければならない。
そうすることで、そこにあるはずのない自動車が見えたり自転車が見えたりするわけだ。
その辺をもう少し研究して詰めることができたら、さらにクオリティーが上がるように思う。
顧問の先生があて書きしてるということもあり随所にそういう面白さが散りばめられており、重くなりがちな内容でも楽しんで演じているのが伝わる。
今回の作品は、はるかの学校でのエピソード、漁村の人々との交流、老人たちの戦中戦後の話という構成になっているわけだが、一時間という限られた上演時間の中では盛りだくさんな感があり、一つ一つが少し希薄になっているような印象を受けた。
メインのストーリーであるはるかの学校生活での葛藤をもう少し観たいと思った。

黒澤 世莉

13人の出演者が、人間や人間以外のものを演じる演劇です。とても難しい集団創作に取り組んでいますが、たくさん練習を重ねた結果が、思い切りの良さとしてしっかり伝わってきました。
台本・演出・演技とレベルの高い作品でしたので、自分たちで試行錯誤できると思います。蛇足までに細かい改善点を書かせていただきます。

「台本」
群像劇(主人公だけでなく、登場人物それぞれに物語をもたせる)を60分で上手にまとめています。しかし、見せ所が増えることと引き換えに、中心がぼやけやすくなります。本作で言えばはるかのエピソードがタカホのものと響き合う構成の工夫が出来ると尚良いです。

「演技」
誇張した演技、たとえばお年寄りと若い時代の演じ分けや、発電機や自動車を演じること、とても見やすく良かったです。高校生よりの上の年代を演じることはいい挑戦です。
全員がストップモーション(静止した動き)をする所など、しっかり止まることや息を合わせることは簡単ではないので、感心しました。 練習を重ねて出来るようになることが、形だけになってしまうともったいないです。中身の練り上げも意識していただけるとより良くなると思います。

「演出」
出演者がみんな舞台に出てる演出や、動物や森の音などなどの処理の仕方、懐中電灯や三味線をつかう明かりや音の使い方、演劇的な企みに充ちていて楽しくなります。ラストの大仕掛けも意欲を感じます。
全員の座るタイミングの揃え方など、まだ洗練できると思います。また、ラストの海をどう処理するか、もっと美しい見せ方やシンプルな見せ方がある気がするので、もっともっと上を目指してほしいなと思います。

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